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お菓子な気持ち 1

 03, 2011 00:34
新作ではありませんが、通常更新いたします。3万文字弱の話なので10話程度になると思います。

滞っている話は、もう少しお待ち下さいませっ!すみません!






 比嘉貴明(ひが たかあき)はここ羽田空港の国際線ロビーで一人の男を待っていた。
今日アメリカから新社長の京橋真琴(きょうばし まこと)が戻って来る予定だった。なかなか姿を現さない新社長に苛々しながらも宮仕えの身では、勝手な行動を取るわけにもいかない。

 真琴の父親である京橋聡介が病で倒れ、急遽社長代理として真琴がアメリカから呼び戻されたのだ。若干二十四歳でMBAを取得しているやり手らしかった。
 らしかったというのは、比嘉はまだ京橋真琴とは面識が一度もなかったからだ。真琴は五年前大学二年の時に、アメリカに留学し、そのまま居座ったそうだ。
 比嘉が二十五歳の若さでヘッドハンティングされ今の会社に入ったのが、今から四年前、真琴とはすれ違いであった。

 ふと比嘉は誰かの熱い視線を感じてその視線の先を見た。まだ高校生くらいの少年が、比嘉をずっと見ていた。
「何か私の顔に付いていますか?」
皮肉を込めて比嘉がその少年に向かって言う。
「もしかして。京橋建設の比嘉さんですか?」
「そうですが……どちら様でしょうか?」
 比嘉はこんな子供に知り合いはいなかった。もしかしたら会社の誰かの息子かもしれないと思ったが、一度会った人間の顔は、比嘉は決して忘れない。

「どちら様でしょうか?」比嘉がその少年に向かって再び聞いた。
「あああ良かったぁ、迎えが来ているって聞いていたのに、なかなか現れないから、僕どうしようかと思っていました」
ほっとした顔でその少年は笑顔を見せる。
「あなたは……?」
「申し遅れました、僕京橋真琴です」比嘉に向かってにっこり微笑む顔を見て、比嘉は頭を抱えたくなった。
「ちょっと待って下さいよ、確かに私は京橋真琴様をお迎えに参りました。ですが私が待っているのは高校生のあなたではなく、二十四歳の京橋様です」

「じゃ僕で間違いないね」再び可愛い笑みを比嘉に見せる。
「パスポートを見せて頂けますか?」
「あんまり疑り深いと嫌われるよ」
比嘉を揶揄するように言うと素直に比嘉の前にパスポートを差し出した。

「本当に二十四歳だったのですね……」
 日本人が見てもこんなに若く見えるのだから、アメリカではさぞ幼く見られた事だろうと比嘉は思った。
「よくそれでアメリカで通用しましたね?」
そんな言葉がつい口から飛び出してしまった。上司になる人間に言う言葉ではないと、瞬時に思ったが、真琴はイヤな顔も見せずに笑った。
「う~んと、今年で二十回くらいかな?」
「えっ何がですか?」突然の主語のない発言に比嘉が戸惑った。
「日本で言えば補導ってやつ?」

 今年と言ってもまだ三か月しか経過していない、その間に二十回!呆れて物も言えない比嘉に向かって真琴は、お腹が空いたと言う。
「あぁそれは失礼致しました。何処かでお食事をしましょう」
「うん、回転寿司にしてね」
真琴に可愛くお強請りされてしまう。
「お寿司ですか、畏まりました」
「回転するやつじゃないと駄目だよ、止まっているのは面倒だから」
「回転寿司ですか……」
比嘉のデータの中に回転寿司屋は入ってはいなかった。

 考えている比嘉に向かって「車走らせていたら、何処かにあるよ、3件目に見つけた処にしよう」などとお気楽な事を真琴は言った。

「今日はホテルに泊まるから、赤坂のホテルに向かって走らせてね」
「ご自宅にはお帰りにならないのですか?」
「うん、時差ボケをホテルでゆっくり直すから」
「社長が病院でお待ちかと思いますが?」
「大丈夫どうせ仮病でしょう?」
「…………」流石の比嘉も否定も肯定も出来ずに言葉に詰まった。
表向きは病気だが、実際今回は可愛い息子を呼び戻し、自分の後継者に育てるのが社長の目的であった。

「早く行こうよ」緊張感の全く見られない少年もとい、青年は相変わらずニコニコ微笑みながら比嘉を急かした。

「あ、パパには3日間比嘉さんを借りるって言ってあるから、比嘉さんも一緒にホテルに泊まってね」
 この息子にしてあの社長だ……比嘉は社長に進言しても却下されるのは想定出来たので、溜息を吐きながらも「畏まりました」と言う以外に無かった。

途中3件目の回転寿司屋に入り、比嘉は真琴と一緒に回る寿司を初めて食べた。安い価格で手早く食べられる回転寿司も悪くはないと、何故か思えてしまい、比嘉は内心苦笑していた。
 
ホテルまでの道のりで、静かになった後部座席を振り向くと真琴はもうとっくに夢の中ですぅすぅと軽い寝息を立てていた。

比嘉はホテルに到着すると真琴をおこし、ロビーに座らせチェックインを済ませた。最低限の荷物は事前に送っていたらしくて、部屋に運び込まれているそうだ。比嘉はそれを真琴に伝えると、また嬉しそうな顔を見せる。

真琴の予約していた部屋は客室最上階のスィートルームだった。最初から比嘉も宿泊させるつもりだったのだろうか?などと思いながらも念のために言ってみた。
「私は別に部屋を取りますので」
「どうして?ここ広いんだからここに泊まればいいでしょう?」
そう言われる気がしていた……
「畏まりました」
「う~ん、何だか固いなぁ比嘉さんて」
「一応真琴様は私の上司ですので」と言うと「一応ねぇ」と皮肉を言われ、二十四歳という年齢を知らしめられた。
「失礼致しました」
「許してあげるから、後で僕のお願い聞いてね」
「私に出来る事でしたら何なりと」
「本当に?嬉しい。僕シャワー浴びて来るね」
そう言うと真琴はさっさとバスルームに消えてしまった。

 その間に比嘉は会社に電話して打ち合わせをし、変わった事は無いかを確認していた。まさか三日もホテルに缶詰めになるとは思ってもいなかったが、社長が入院している今殆どが電話で片付く仕事ではあった。

「あ~気持ち良かったぁ、比嘉さんも入ってくれば?」
そう言って現れた真琴は、とても一言では言い表せないような、とても素敵な?パジャマ姿で現れた。ピンク地にお菓子の柄がプリントされたパジャマはとても成人男性が好んで着るような物ではなかった。もし自分の彼女がこんな柄のパジャマを着ていたら、男は萎えてしまうだろうと思った。

 生憎比嘉はゲイであった。だがいくら相手が男といえ、こんなお子ちゃまには食指も動きそうもない。二十四歳と聞いた時多少期待したが、そんな期待は今となっては遥か彼方に飛んでしまっている。





◇雷鳴5を更新しました。すみません、雷鳴は記事上げするのをすっかり忘れていました。10話完結までは忘れずに上げて行きたいと思っています。
カテゴリーか携帯用目次からお入り下さい。
念のためにここにもリンク貼っておきますね。雷鳴5(凌辱あります。ご注意)



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COMMENT 1

NK  2011, 12. 03 [Sat] 07:57

お久しぶりです。
ピンクのお菓子模様のパジャマを着た童顔の24歳男性。
これだけだと、乙女な不思議ちゃんっぽい。
何だか想像するだけで「うぷぷ」と頬が弛んできます。
これで攻めくんだったら、かなりの衝撃です。
どんな展開になるのかな。
楽しみです。

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